ご挨拶

昨年2008年は、江戸時代の末期、安政年間に結ばれた「日・仏修交通商条約」発行から数えて、ちょうど150周年目にあたる節目の年でした。

日本のみならず、フランス各地においても、さまざまな記念行事や催し物が行われたことは周知の通りです。そのことを通して、両国の友好関係や相互理解度は、依然よりまして深まったことだろうと拝察します。

わがトゥールーズにおいても、5月 「l’Instant Japon=日本のこだま」 と題する興味ある催しが 行われましたし、10月から本年1月までは、トゥールーズ近郊にあります 「Maison de la Céramique Contemporaine de Giroussens 」 を中心に、陶芸界では画期的とも言える 『1ère Rencontres Internationales de la Céramique à Giroussens』 が開催され、「Shino de neige et de feu: 志野 -  雪と火」、「Shino et Wabicha – l’esprit de thé: 志野と侘び茶・茶の湯の精神」 の名のもと、フランス、イギリス、アメリカ、 オーストラリア、 オランダ、日本の6カ国の代表的なShino作家13名が参加し、“国際志野”、“志野焼き”の国際的な拡がりに拍車をかけ、成功裡にその幕を閉じました。むろんこれは、世界初の催しものでした。
これら2件の催しに、直接関わらせて頂いたことによって、ヨーロッパやアメリカの人々、とりわけトゥールーズ周辺の人々が、「日本」及び 「日本の焼き物」 にいかに魅せられていらっしゃるかが実感出来ました。

そして、それはまた、世界の陶芸家、あるいは陶芸愛好家にとって“やはり日本は<焼き物のメッカである>と思われているな”という実感でもありました。
30数 年間にわたるアメリカやヨーロッパへの度重なる視察旅行や講演、あるいはデモンストレーションや展覧会の実施によって、日本の精神文化や陶芸の浸透がかな り急速に、しかも、しっかりとした形で進んでいる、という思いは以前から持ってはいましたが、フランスに永住すると決め、茶室、アトリエ、穴窯など構築し て5年、さまざまな出逢いや体験の中で、いよいよその事実が決して間違ってはいない、いなかったというのが私の最近の思いです。

例えば、3年前から行っているマルセイユとリモージュの陶芸学校での「日本の陶芸技術」と題する私の授業に、遠くヨーロッパの各地からプロ・アマ問わず、毎年定員いっぱいの人々が参加してくださるなどは、その好例でしょう。

その他、フランス各地で開かれている日本語の学習会、日本文学読書会、さらには俳句の会や座禅の会など、日本の文化面への関心度の高さは申すまでもなく、若年層に人気の日本アニメーション、漫画、コスプレ・ファッション、あるいは柔道、合気道、弓道、居合道など伝統的な日本の武道、さらには華道、茶道、書道といった修業道へのフランス人の参加が、年々増加している現象から見ても、その事実の確かさが語れると思います。

さて、こうした時代の認識の中で、この度、同じ思いを抱く人たち、同じ志を持つ人、すでに何らかの形で実践している人たちが集い、

l 日本の「ありのままの姿」を正しくお伝えする場

l 日本の「現代のいぶき」に正面から出遭える場

l 日本の「焼き物の真髄」に直接触れれる場。。。作り

というコンセプトのもと、『トゥールーズ日仏文化センター・エスパース萌し』の設立に歩みだしました。

その設立によって、

l フランス及び周辺の国々の人と日本の相互理解が更に深まり、「国際親善」や企業間の交流、業務提携などに貢献が出来る。 日本語・あるいは日本の精神、文化、芸術さらには産業、経済、観光などに関心のある多くの人々、特に若い学生たちに特別な便宜が図れる。

l コンコルドやエアバス、人口衛星やロケットなどの開発、製造都市として、あるいはパリに次ぐ大学都市、芸術都市として知られる南仏の古都、トゥールーズがさらなる活気を呈する引き金となる。

l 日本の陶磁器の至宝が直接鑑賞できることで、陶芸界あるいは陶芸を志す人々にとって、かけがえのない物となる。

l 在欧日本人が、日本を再認識し、ふるさと日本をより身近に感じられる一助となる。

等などが期待できると思います。

つきましては、本草案が現実化できますよう、各位のご理解とご協力、ご助言を賜りますように切にお願い申し上げ、ご挨拶と致します。

2009年3月3日

設立準備室幹事会を代表して

高橋利通

連絡先: contact@ccfjt.com